今回のテーマは「共依存と認知のゆがみ」です。
共依存の方は、特定の考え方に縛られて苦しむことが多いです。
認知のゆがみは認知行動療法という心理療法の考え方ですが、共依存の特定の考えかたにも深く関わっています。
今回は、共依存の方が陥りやすい認知のゆがみのパターンを説明します。
あなたが自分自身の考え方のクセに気付き、そこから抜け出すためにとても重要になります。
ぜひ最後までご覧ください。
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共依存と認知のゆがみ
認知とは
最初に、認知とはなにかを簡単に説明します。
以前別の記事で説明していますので、詳しく知りたいという方はそちらをご覧ください。
認知とは、簡単に言ってしまえば『物事をどう解釈するか』です。
私達は、全く同じときに同じものを見たとしても、感じ方が違っています。
例えば、私達が道路を歩いていて、目の前から散歩している犬が現れたとします。
もしあなたが犬好きなら、「あ、犬だ!可愛い!」と感じるでしょう。一方、犬が嫌い、犬が怖い人からしたら「あ、犬だ!怖い、避けよう」となるでしょう。
目の前から犬が歩いてくる。その全く同じ出来事であっても人によって感じ方が違う。これが認知の与える影響です。
特定の認知のクセが苦しみを生む
認知療法の生みの親であるアーロン・ベック氏は、人の苦しみは出来事そのものではなく、その出来事をどう捉えたかの解釈によると考えました。
同じものを見たり、聞いたとしても、人によってその感じ方が違う。その違いが苦しみの原因だということです。
そして実際に、うつ病患者が特定の認知のクセを持っていることを発見し、それを10種類に分類しました。
それが『認知のゆがみ』と呼ばれるものです。
私達の認知は皆ゆがんでいる
ただし、勘違いしてほしくないのは、私達の認知は皆ゆがんでいます。というか、認知に何が正しい、間違いもありません。
実際、先ほどの犬の例で、「犬が可愛い」と感じるのも、「犬が怖い」と感じるのも、どちらが正しいとか間違っている、というものではありませんよね。
ゆがんでいるのが悪い!ということではなく、心の病になりやすいゆがみ方があるんだという風に理解してほしいです。
共依存の認知のクセ
認知のゆがみについて説明したところで、共依存の認知について見ていきましょう。
共依存の方には特有の考え方のクセがあります。そしてその考え方のクセは、認知のゆがみと大きく関連しています。
認知のゆがみが影響して、共依存特有の考え方のクセに繋がっているという風にも考えられます。
なので共依存を克服するためには、自分自身の持つ認知のゆがみに気づき、自分がいつも陥っているパターンから抜け出す必要があります。
これから、認知のゆがみ10種類のうち、共依存に特に影響を与えているものをいくつか紹介します。
ぜひ、ご自身のパターンと照らし合わせながら聞いてください。
①すべき思考
これは、「〜すべき」、「〜しなければならない」という縛りルールが強いというクセです。
共依存の最も大きな特徴に、「相手を助けたがる」、「相手を変えたがる」というものがあります。
これはまさにすべき思考の影響で、「私が彼を助けなければならない」とか、「彼は絶対にこうすべき」といった自分ルールに縛られて、自分の行動も相手の行動も縛っていきます。
その結果、自分も相手も疲弊して苦しむことになります。
本当の意味で、私達の人生で『しなければならないこと』なんてありません。もちろん法律は守らなければなりませんが、その法律でさえ、住んでいる国によって違いますからね。
『しなければならないこと』なんてないのに、「私はこうしなければならない」、「そうでなければ生きられない」という思い込みに縛られているのです。
②白黒思考
物事を白か黒、0か100といった極端に判断するクセです。その中間、グレーや50点が見えません。
共依存の方の大きな特徴として、「自分や相手を責めやすい」というものがあります。この特徴の背景には白黒思考があります。
ちょっとしたミスで、「自分なんか全然だめだ」とか、「自分には価値がない」と感じたりします。これがまさに白黒思考で、50点、70点といった評価を出来ないのです。
また、『好き⇔嫌い』、『味方⇔敵』の評価が極端になりやすい特徴があります。
例えば、恋人の態度に敏感で、100回愛していると言われても、1回疑わしい態度を取られれば、「この人は私を愛してくれない!」味方じゃない。敵だ。と考えて責めたりもします。
これも白黒思考のクセが影響していると考えられます。
③結論の飛躍
これは、人の心や物事の結論を勝手に決めつけるクセです。
共依存の方は「恋人に見捨てられるかもしれない」という不安が強い傾向があります。
そのため、相手のちょっとした態度の違和感から、「振られる、捨てられる」とと結論付けて強い不安を感じたりします。
これはまさに結論の飛躍が影響しているといえます。
まだわからない未来に対して、「きっとこうなるだろう」と悲観的な結論を決めつけて不安になってしまうのです。
④自己関連づけ
これは、自分に関係ない出来事でも、「自分が悪い」と自分の責任として感じてしまうクセです。
共依存の方は、相手の世話をしたがる傾向が強いです。その結果、相手の気分、失敗なども「自分が悪い」と感じやすい傾向があります。
例えば、相手の機嫌が悪くなれば、「私が悪い。もっと相手にこうしておけば」とか、相手が何か失敗したら、「私が悪い。ちゃんとアドバイスしておけば」といった感じです。
これはまさに自己関連づけです。
相手が小さな子供なら親が責任を取るのは普通のことです。しかし、相手が成人であれば相手の気分も失敗も、相手の責任なのです。
相手の責任を自分の責任のように感じてしまう。これは『自他の境界があいまい』という風にも言われます。
これは自己関連づけが影響していると考えられます。
自分のクセに気づくこと
以上、共依存の方に影響を与えやすい認知のゆがみを4つ説明しました。
他にもまだまだあるのですが、大きなところではこの4つを抑えておけばよいかと思います。
どうでしょう?あなたにも当てはまるクセがあったんじゃないでしょうか?
ぜひ、あなたの日常の中で、「こう考えたのは、すべき思考が影響してるんじゃないか」みたいな感じで自分のクセを見つめ直してみてください。
まずは自分のクセに気づくということが重要です。
クセは勝手に働く
クセというのはどんなものもそうですが、勝手に働きます。
私はつい足を組んでしまうクセがあって、今も足を組んでいました(今気づいて下ろしました)
こんな感じで、認知のゆがみというのも勝手に働きます。
「クセがあるから悪い」、「クセをなくしたい」と考えるのは普通ですが、残念ながら長年培われたクセというのは簡単には消えません。
なのでまずは気付くことが重要です。
私が今、足を組んでいたことに気づき、足を下ろしたように。認知のゆがみクセも、「あ、今クセが出てたな…」と気付けば違う風に考えることも出来ます。
気付いて方向転換する。その繰り返しが、あなたをこれまでと違うパターンに導いてくれるでしょう。
考え方は1つではない
認知のゆがみは解釈のクセです。
そして最初に言ったとおり、私達の解釈は人それぞれ違います。
あなたは、「こうに違いない!」と思っているかもしれませんが、他の人からすれば、「ぜんぜん違うよ」ということだってたくさんあるんです。
テストで自信満々に答えた問題が間違ってた…なんてこともありますよね?
私達の頭の中なんて、大してあてにならないのです。
人それぞれに考え方があって、あなたの考えは数ある考えの1つに過ぎない。そのことを強く理解しておいてください。
あなたは「私なんて全然価値がない…」と思ってたとしても、それもただの解釈に過ぎません。
実際は、「あなたがいてくれて良かった。あなたにはすごい価値がある」と思ってる人がいるかもしれません。
ただあなただけが勝手にそう思い込んでいるだけなのです。そしてそれはただのクセです。
クセは簡単には消えませんが、「私はこう思ってるけど、そうではないかもしれない」というふうに方向を転換することは出来ます。
自分の考えを方向転換してみよう
認知のクセに囚われなくなるためには、考えを方向転換することが重要です。
まずは自分のクセに気付くこと。そして違う考えに方向転換してみることです。
「あ、またすべき思考が出てた…私はこう思い込んでるけど、実際は違うのかもしれない。他の考え方をしてみよう…」
みたいな感じで、日常の中で自分の考えに対して方向転換してみてください。
終わりに 共依存はクセである
今回は、共依存と認知のゆがみの関係について説明しました。
認知のゆがみというのは、解釈のクセです。
ということは、そこから生まれる共依存的な特徴もクセなんです。
クセということは、これから別のクセに変えていくことが出来るということです。
足を組んでることに気付いたら足を下ろすように、自分の考えのクセに気付いたら別の考え方をしてみてください。
最初は難しいですが、それを繰り返せばだんだんとあなたは今よりもっと自由に物事を考えることが出来て、そして今よりずっと生きやすくなります。
あなたの人生はもっと自由で、未来はもっと素晴らしいです!
そのことを信じて、少しずつクセの改善に取り組んでいってください。
では、本日の内容は以上です。
最後までご覧いただき誠にありがとうございました。
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