今回のテーマは、「愛着障害と見捨てられ不安」です。
見捨てられ不安は恋人や対人関係で、見捨てられるかもしれないという不安を強く感じる状態です。
それには幼少期の頃の家庭環境が原因の「愛着障害」が大きく影響しています。
今回は、見捨てられ不安とはなにか、見捨てられ不安と愛着障害の関係、見捨てられ不安の乗り越え方について説明しています。
あなたが「見捨てられるかもしれない」という不安で悩んでいるなら、克服に向けて役に立つ内容になります。
ぜひ最後までご覧ください。
動画で見たい方はこちらからご覧ください。
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見捨てられ不安とは
最初に『見捨てられ不安』について説明していきます。
意味はその名の通りなのですが、大切な人から「見捨てられるかもしれない」という不安が強いという精神的な特徴です。
この見捨てられ不安は、心理学的にも広く研究されている概念です。
アメリカ精神医学会では、「現実・想像の中で、見捨てられることを避けようとするなりふりかまわぬ努力」という風に表現されています。
現実に捨てられるというだけではなく、想像の中で「この人に捨てられるかもしれない」という不安・恐怖が強くなり、その頭の中にイメージした見捨てられる未来を回避するために様々な行動を行うことになります。
見捨てられ不安の行動
その行動には様々なものがありますが、一例をあげると、
・相手にすがる
・尽くす、合わせすぎる
・何度も愛を確認したり相手を試す
・相手を責める
・ときには自傷する
といったものがあります。
見捨てられ不安と愛着
見捨てられ不安が生まれる背景には、『愛着』というものが大きく影響してしています。
愛着については、以前別の動画で説明しているので、詳しくはそちらをご覧ください。
ここでは簡単に説明しますと、大切な人との間に形成される『心の繋がり』のことです。
子供の頃の一番大切な人は親ですよね。なので子供の頃に親との間に安定した『心の繋がり』が作れたかどうかが非常に重要になってきます。
愛着障害とは
愛着障害とは、その『心の繋がり』が残念ながらしっかり作れなかったときに生まれる様々な障害のことを指します。
これは通常、子供に診断される精神障害なので、大人の場合は『大人の愛着障害』と呼ばれます。
子供の頃に親との間に心の繋がりを作れなかった。その結果、自分自身に自信が持てなかったり、他者との間に安定した関係を作る自信が持てなかったりといった特徴があります。
これが見捨てられ不安に影響してきます。
親との間に心の繋がりがしっかり築けなかった場合、見捨てられ不安を感じやすくなってしまいます。
他者も自分も信用できなくなる
子供は親との間に愛着を形成していく中で、
・他者は信頼できる存在だ
・私は他者に信頼される存在だ
という2つの信頼感を得ることが出来ます。
この信頼感が軸となって、私達は他者と健全な関係を築いていくことができます。
この信頼感を育てるためには、子供の頃の親との交流が必要不可欠です。
この場合の親というのは、産みの親というよりは育ての親です。自分のことを一番に守ってくれて、お世話をしてくれる存在。
その親との間に愛着が築けないと、この信頼感を得られないまま大人になってしまいます。
他人を信頼できない。他人はいつ自分を見捨てるかもしれない。
自分を信頼できない。自分は愛される存在ではない。いつ見捨てられてもおかしくない。
だから見捨てられ不安が強くなるのです。
親に否定的に育てられた
研究によると、親に否定的に育てられた子供は見捨てられ不安が強くなる傾向があるという結果が出ています。
例えば、親のしつけが厳しかったり教育熱心過ぎると、子供に否定的に接することが多くなります。
100点を取ったときはすごく褒めるけど、80点だったらすごく怒る。「あんたはほんとにダメね」みたいに否定するようなことを言ってくる。
こういう態度が多かった場合、親に愛してもらうためには「自分は◯◯でなければならない」という風に考えやすくなります。
「親が悪い」ではなく、「親に愛されない自分が悪い」という風に考えやすくなるんですね。
そして、「親に見捨てられないためには努力を続ける必要がある」と考えます。
その結果、親に見捨てられないように自分の行動を決めていくことになります。親の期待に応えようとしたり、親に怒られないようにいい子に振舞ったりといった傾向が出てきます。
共依存・恋愛依存との関連
では、それが共依存・恋愛依存とどう繋がっていくのか説明してきます。
見捨てられ不安は、大切な人に見捨てられたくないという思いです。なので子供の頃は対象が親になります。
大人になると人は自立し、親元を離れひとり暮らしをする人が多くなります。すると当然ながら親との物理的な繋がりは薄くなっていきます。 (心の中は親に縛られたままであっても)
すると今度は、大切な人というのが恋人・パートナーに移っていくことになります。
「親に見捨てられたくない」という思いが、「恋人に見捨てられたくない」という思いに変わっていくんです。
先ほどもお話した通り、恋人も自分も信頼できないので、「恋人が自分を見捨てるかもしれない」という不安が強くなっていきます。
恋人に合わせる、尽くし続ける
そして、子どもの頃に親にしていたのと同じように、恋人に愛されるための努力をし続けることになります。
恋人に見捨てられないように、自分を犠牲にして尽くしたり、自分の外見だったりステータスを磨くため過剰に自分磨きをするといった行動が増えていきます。
これはすべて、愛する人に捨てられないための行動です。見捨てられ不安とは、愛する人に見捨てられなくないという必死の思いの表れなんです。
恋人を試す行動が多い
もう一つの大きな特徴は、恋人を試す行動が多いということです。
自分も他者も信頼できないから、自分はいつ見捨てられるかわからない。その不安感が胸にあると辛い。だから安心感が欲しくなります。
安心感を得るために、恋人が自分を愛してくれているかどうかを頻繁に試すことになります。
これは例えば、LINEの頻度とか、会う頻度とか、愛しているという言葉の多さとか、あとは細かい態度など。常に自分を変わらず愛してくれているかを過剰に気にして、試していく。
ただ残念ながら、それが逆に恋人に嫌がられ別れる原因となることもあります。
自分一人で生きていくことへの不安
また、自分を信頼できず、子どもの頃から親に合わせてきたことで、自分軸が育っていません。
自分はこういう人間である。自分はこういう風に生きていきたい。そんな思いが弱く、一人で生きていくことに不安が強く出てきます。
私は一人で生きていけない。だから恋人が必要だ。そういう思いからさらに恋人に依存していくことになります。
一人で生きていけないから、見捨てられたら終わりなのです。だから余計に見捨てられるのが怖い。見捨てられないために必死になる。
そうやってますます見捨てられ不安が強くなり、共依存・恋愛依存が悪化する、という負のループに陥ってしまうことになります…。
不安が不安を呼び、依存の沼にはまっていくことになるのです。
見捨てられ不安を克服するために
ここまで、見捨てられ不安が生まれたきっかけと、恋愛に与える影響について見てきました。
あなたが見捨てられ不安を克服したいと思うなら、次の3つのことを練習していきましょう。
①自分の心の声に気付く
②今の自分を認める
③自分軸を育てる
1つずつ説明していきます。
①自分の心の声に気付く
まず第一に必要なことは、不安を湧き起こす自分の心の中のパターンに気付くことです。
例えば、『恋人からLINEの返信が返ってこない』などの出来事が起こった際に、「LINEが返ってこないなんて、きっと恋人は私のことが好きじゃない。もう捨てられる」
といった心の声が必ず聞こえてきています。声に出てないだけで、頭の中の独り言です。
私達の頭の中は、基本的にずっと独り言を言い続けています。
そしてこの独り言が、あなたの中に不安を湧き上がらせているのです。
つまり、はっきり言ってしまえば、あなたは自分の心の声に踊らされて、一人で勝手に不安になっているのです。
このパターンに気付き、「あ、また勝手に不安になっている…」と自分を客観的に見つめることが出来れば、不安は自然と減ります。
これは、あなたの心のクセ、考えかたのクセが影響しています。
それを『認知のゆがみ』と呼びます。
別の動画で詳しく説明しているので、ぜひそちらの動画を合わせてご覧ください。
②今の自分を認める
見捨てられ不安は、「恋人に見捨てられるかもしれない」という不安です。
それは、「恋人に愛される価値がない」という裏返しでもあります。
価値がない(と思い込んでいる)から、捨てられるかもしれないと怯えているのです。
そして価値がない(と思い込んでいる)から、相手に尽くしたり、合わせたりして、なんとか相手にとっての価値を見出そうとするのです。
また、自分磨きを過剰に行う方も同じです。今の自分には価値がないから、もっと自分を磨かねばならないと考えているのです。見捨てられ不安の強い方で、自分磨きが好きな方はとても多いです。
けどそれは、今の自分自身の否定になります。
自分みがきをしなければいけない = 今の自分には価値がない(つまり今の自分の否定)です。
見捨てられ不安を克服したいなら、自分自身を認めてあげる必要があります。
それは、完璧な人間になるということではありません。不完全な今の自分、ありのままの自分を認めるということです。
私にはこんな良いところがあり、悪いところがある。それが私である。それを自分自身で見つめて、ありのまま表現していきましょう。
「周りに嫌われないために」とか、「周りに良く見られるために」している行動を少しずつ減らし、ありのままの自分を表現する行動を増やしていくことが重要です。
③自分軸を育てる
見捨てられ不安は、「相手に見捨てられるかもしれない」という不安です。
これは、常に相手の目を気にしていることになります。「相手はどう思っているだろう?」、「相手に嫌われてないだろうか?」と、相手のことばかりが気になってしまっています。
これは特定の恋人だけでなく、職場の同僚だったり関係する多くの他者に対してです。
こうやって相手に集中すればするほど、自分自身に対する集中力が失われます。
自分の人生ではなく、相手から見た人生を生きてしまっているのです。
相手のことばかり気にしているから、「相手に見捨てられるかもしれない」という不安が強くなります。
であれば、自分の人生に集中することで、相手のことが気にならなくなります。
つまりそれが自分軸を育てるということなんのです。
「他人にどう見られるか」ではなく、「自分はこうしたい」と思うことを見つけて、実行に移す。それを繰り返すことが大切です。
意識の比重が、『自分 < 相手』になっているのを、『自分 > 相手』にする。すると他人に見捨てられる不安は小さくなります。
以上が見捨てられ不安を克服するための練習方法です。
ここで説明した3つはすべて繋がっています。
いきなり全部意識するのは難しいと思うので、1つずつ順にチャレンジしてみてください。
あなたの心の鎖を解き、自由にするためのエクササイズです。
終わりに 見捨てられ不安は克服できる!
今回は、見捨てられ不安についてお話してきました。
見捨てられ不安は、子供の頃の心の繋がりが作れなかったことで、他者も自分も信頼出来なくなった状態です。
しかしそれは思い込みに過ぎません。
「私は他者に愛されない存在だ」という思い込みに振り回され、必死で周りに合わせたり、自分を磨きすぎたり。今の自分を否定して、他の自分になろうとしています。
まずは自分の間違った思い込みに気付くこと。思い込みに振り回されていることに気付くことが重要です。
そして、今の自分でも十分だと自分を認め、ありのままの自分を表現していきましょう。
また、自分の本当にしたいこと、自分の心の想い、願いに気付いていくことも大切です。
見捨てられ不安は、子供の頃に親に見捨てられないように必死で作り上げてきた行動パターンです。
それは子供の頃に必死で生きてきた証でもあります。それ自体は何も悪くありません。
ただ、その必死さが自分をかえって苦しめていることに気付きましょう。
そんなに必死にならなくても良いのです。あなたはあなたのままで、この世界をしなやかに生きていけるのですから。
では、本日の内容は以上です。
最後までご覧いただき誠にありがとうございました。
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