今回のテーマは、「共依存から自分軸へ」です。
共依存とは、相手を優先しすぎて自分らしさを失ってしまう状態のこと。
「言いたいことを我慢してしまう」
「NOが言えない」
「相手に合わせすぎて自己嫌悪になる」
あなたは、そんな苦しみを抱えていませんか?
でも、それはあなたが弱いからではありません。
そこには、ちゃんとした理由があります。
その背景にあるのが、“自分軸”が育ちにくかったこと。
今回はこの「自分軸」というキーワードを手がかりに、なぜ共依存に陥ってしまうのか、そしてどんなふうに変わっていけるのかをやさしく解説していきます。
あなた自身の変化のきっかけとなる内容になっています。
ぜひ最後までご覧ください。
1. 自分軸とは
“自分軸”とは、自分の気持ちや価値観を土台に行動していくことです。
たとえば、
「私はこれを大切にしたい」
「私はこう感じている」
そんな内側の声を拾ってあげること。
よく「自分軸=わがまま」と誤解されますが、それは違います。
わがままというのは、「誰かを犠牲にしても自分の欲求を通すこと」
自分軸とは、「誰かを犠牲にすることではなく、ただ、自分の声を無視しないこと」
言い換えるなら、他人にハンドルを渡しっぱなしの人生から、少しずつ自分でハンドルを握っていく感覚です。
あなたの人生のハンドルを、あなたが握り操縦する。そういう感覚です。
2. なぜ自分軸が育ちづらいのか(愛着トラウマとの関係)
では、なぜ自分軸が育たず、共依存に陥ってしまうのでしょうか。
その背景にあるのが、愛着トラウマです。
それは、子供の頃の環境が大きく影響しているんです。
例えば、子どもの頃にこんな経験がありませんでしたか?
親の顔色を常にうかがっていた。
「いい子」でいないと愛されない気がしていた。
自分の気持ちを表すと否定された。
こうした環境では、「自分の声を表に出す」よりも、「相手の声に合わせる」方が安全に生きられることになります。
当然、自分軸を育てることよりも、相手に合わせることを無意識に優先してしまう。
つまり、相手に合わせることは、過酷な環境を生き延びるための知恵だったのです。
その結果、自分の気持ちを感じる力=自分軸 が育ちにくくなってしまうのも当然です。
3. 自分軸と共依存の関係
共依存とは、相手の気分や評価を基準に自分の行動を決めてしまう状態です。「嫌われないように」「見捨てられないように」動いてしまうのもその一例です。
つまり、自分軸と共依存は、ある意味で裏表の関係と言えます。
自分軸が育っていないと、他人軸となり相手に合わせ過ぎてしまう。
その結果、自分を押し殺してでも相手に合わせる「共依存のルール」が強まっていきます。
一方で、自分軸が少しずつ育っていくと、「私はどうしたい?」という視点を持てるようになり、共依存のパターンから離れる第一歩を踏み出せるのです。
先ほどお話した、自分の人生のハンドルを自分で握る第一歩ということです。
4. 共依存ルール vs 自分軸ルール
では、共依存のルールと自分軸のルールは具体的にどう違うのか?
2つのルールを見比べてみましょう。
ぜひあなたの普段のパターンと照らし合わせながら見てください。
共依存ルール | 自分軸ルール |
---|---|
相手の望むことをしないと嫌われる | 自分の「やりたい」を大事にしていい |
感情は迷惑だから見せちゃいけない | 感情は感じてもいいし、表現していい |
NOを言ったら見捨てられる | 嫌なことは「NO」と言っていい |
誰かの評価が、自分の価値を決める | 私の価値は、私が決めていい |
周りに合わせないと浮いてしまう | 自分のペースで動いていい |
間違えると、価値がなくなる | 間違えても、ダメな人間にはならない |
あなたはいくつ当てはまりましたか?
ここで大切なのは、共依存ルールを持っていること自体が悪いのではないということ。
それは、あなたが子どもの頃に「生き延びるために必要だったルール」なんです。
かつてのあなたはそのルールがあったからこそ生きていけた。
ただ、今はそのルールがちょっと重荷になっている。
だから、新しいルールが必要になってきた。
つまり、今までが悪い、ということではなく、今必要なルールを獲得していくことが大切なんです。
次回は、自分軸ルールを実際に育てるためのポイントを、分かりやすく解説します。
5. 終わりに ― 自分のルールを優しく見つめ直す
共依存ルールは、過去のあなたを守ってくれた大切な知恵でした。
でも、大人になった今、そのルールが苦しさを生んでいるかもしれません。
大切なのは、「今もそのルールが必要なのか?」と見つめ直すことです。
そして少しずつ、自分の声を拾い直し、「自分軸ルール」に置き換えていくこと。
「今まではこうやって人とつながってきたんだね」
「だからこそ、ここからは新しいルールを選んでみてもいいかもしれない」
そんなやさしいまなざしで、自分を見つめ直してみてください。
それが、共依存から自分軸へと歩み出す第一歩になります。
今回は以上です。