今回のテーマは、愛着トラウマが生み出す「危険な恋愛パターン」です。
「もうこんな恋愛はやめたい」そう思っているのに、気づけばいつも同じような恋愛をしてしまう。頭ではわかっているのに、なぜかやめられない。
あなたは、そんな“繰り返してしまう恋愛のパターン”に悩んでいないでしょうか?
たとえば──
・相手の言いなりになって、自分の気持ちを押し殺してしまう
・本当は苦しいのに、なかなか今の関係を手放せない
こうした恋愛のパターンは、ただの「性格の問題」ではありません。その背景には、幼い頃からの「嫌われないために身につけたクセ」が影響していることが多いです。
今回は、愛着トラウマによって形づくられる“危険な恋愛パターン”についてお話ししていきます。自分の恋愛パターンに悩んでいる、同じ失敗を繰り返してしまうという方にとって、役に立つ内容になると思います。
ぜひ最後までご覧ください。
愛着の傷がつくり出す「関係のルール」
私たちは誰しも、「こうすれば愛される」「こう関わればうまくいく」といった“つながり方のクセ”を持っています。
これは、無意識の中にある「関係のルール」のようなもので、多くは幼い頃の親との関係から学んできたものです。
愛着トラウマとは、「安心して人とつながる」感覚を持てずに育ってきた心の傷のことです。そのため、身についた関係のルールも、安心ではなく“不安”に基づいたものになっていきます。
たとえば──
・本音を出すと怒られた
・甘えようとすると拒絶された
・機嫌をうかがっていれば安全だった
・言うことを聞いていれば褒められた
こうした体験が繰り返されると、
「自分の気持ちは出さない方が安全」「相手に合わせていれば見捨てられない」
そんな“見捨てられないための戦略”が、心に刷り込まれていきます。
“関係のルール”の影響
こうやって作られた“関係のルール”は、大人になってからの恋愛にも影響します。その結果、自分の気持ちは出さずに恋人に合わせすぎる。そういった関係になってしまう…。
たとえ頭では「今のままじゃいけない」「もっと自分を大切にする恋愛をしたい」と思っていても、無意識に“昔と同じ方法”で人と関わってしまう。
それは、子どもの頃から続く“見捨てられないための戦略”です。これが、苦しくても抜けられない恋愛パターンを生み出す原因になっています。
これはけっして、あなたが悪いとか、心が弱いからではありません。かつて“そうしなければ愛されなかった”という記憶が、今もあなたを必死で守ろうとしているだけなんです。
代表的な“危険な恋愛パターン”4選
では、愛着トラウマが生み出す、『苦しくても抜けられない恋愛パターン』には、どういったものがあるのか?ここでは代表的なパターンを4つ紹介します。
1.相手に尽くしすぎる/言いなりになる
「嫌われたくない」「見捨てられたくない」という不安から、相手の希望を最優先してしまうパターンです。自分の気持ちを押し殺してでも、相手に合わせてしまう。
一見、やさしさや思いやりのようにも見えるかもしれませんが、その背景には、「そうしないと関係が壊れてしまうかもしれない」という、深い恐怖が隠れています。
これは、幼い頃に
「自由に振る舞うと親に強く怒られた」
「言うことを聞いたときだけ認められた」
といった体験から生まれやすい、最も典型的なパターンのひとつです。
2.すぐに距離を詰めてしまう
出会ってすぐに「この人しかいない」と思い込み、急に距離を詰めてしまうパターンです。これは、孤独や寂しさを一刻も早く埋めたいという衝動によるものです。
まだ親しくないうちに、身体の関係を持ってしまったり、過剰に依存してしまったり。
その結果、相手との温度差が広がり、すぐに関係が終わってしまうこともあります。
こうしたパターンの背景には、子どもの頃に「なかなか構ってもらえなかった」体験が影響している可能性があります。
たとえば、親が忙しかったり、気分が不安定で、安心して甘えられなかった。だからこそ、「この人を逃したらまたひとりになる」と不安になり、つながりを急いでしまうのです。
3.相手の愛を確認しすぎる
「私のこと、本当に好きなのかな?」
「ちょっと無視して、相手の反応を見てみようかな」
そんなふうに、相手の気持ちを確かめるために、駆け引きをしすぎてしまうパターンです。
連絡の頻度や、相手の態度に敏感になりすぎて、試すような行動を繰り返してしまう。でもその結果、反応が思った通りじゃないと、不安になったり、ひどく落ち込んでしまう。
このようなパターンの背景には、『親の愛を実感できなかった体験』が影響している可能性があります。
たとえば、親の気分が日によってコロコロ変わったり、突然無視されたり。そんな中で育つと、「愛されているかどうか」を、いつも確認していないと不安でいられなくなってしまいます。
4.ダメな人に惹かれてしまう
冷たい人、怒りっぽい人、頼りない人、浮気を繰り返す人…。
そんな“ダメな相手”ばかりに惹かれてしまい、付き合うたびに苦労して、傷つく。それでも、なぜか離れられない。
「ちゃんと大切にしてくれる人」を選びたいのに、どうしても不安になってしまう。
その背景には、親に雑に扱われた体験が影響していることがあります。
親が冷たかった。怒りっぽかった。浮気を繰り返していた。そんな親に嫌悪感を抱きながらも、そこで築かれた関係に“慣れ”てしまっている。
逆を言えば、「ちゃんと大切にされる関係」に慣れていないだけなのです。
あなたを守るためにあるもの
以上、4つのパターンを紹介しました。
どのパターンも、「ダメな自分だから」「意思が弱いから」ではありません。かつて“そうしなければ愛されなかった”という記憶が、今もあなたを必死で守ろうとしているだけなのです。
あなたの頭と心は、あなたを守るために必死で働き続けています。そこに悪気はまったくありません。
なので、自分を責めれば責めるほど、余計に苦しみは増すのです。
苦しみを抜け出すために必要なのは、自分を責めて無理やり変えようとすることではないのです。
抜け出すヒント:「私はどんなパターンを持っている?」
では、どうすればこのパターンから抜け出せるのでしょうか?
まず大切なのは、「無理やり変えようとすること」ではなく、「自分のルールに気づいてみること」です。
・なぜ私はこの相手に惹かれたのだろう?
・なぜこんな行動をとってしまったのだろう?
・どんな自分を守るルールがあるんだろう?
そんなふうに、自分を責めるのではなく、自分を知るためのやさしい問いかけをしてみてください。
すると、今まで“当たり前”だと思っていたことの中に、「もしかしてこれは、過去の傷からきていたのかも」と気づける瞬間があるはずです。
過去の傷に気づき癒やすことができれば、少しずつ新しいパターンを築いていくことが出来ます。
『自分を責める』のではなく、『自分を癒す』。そこから、新しいつながり方が始まっていくのです。
終わりに “つながり方”は変えていける
今回は、愛着トラウマが生み出す“恋愛のパターン”についてお話ししました。
いつも同じような恋愛で傷ついてしまう…。そんな経験の奥には、かつてのあなたが「こうすれば愛されるかもしれない」と信じて、必死に守ってきた“つながり方”があったんです。
その方法は、たしかにあなたを守ってきました。でももし今、それが苦しさに変わっているのなら──
新しいつながり方を選ぶチャンスが、来ているのかもしれません。
安心できる関係は、不安から生まれるものではありません。
「わかってもらえた」「そのままでいいと言ってもらえた」
そんな小さな安心の積み重ねの中で、少しずつ育っていくものです。
あなたは今、その最初の一歩を踏み出そうとしているところ。
まずはあなた自身が、あなたのパターンに理解を示し「子どもの頃からのパターンだもん。しょうがないよね」と優しく寄り添ってあげてください。
大丈夫。必ず、あなたの“つながり方”は変えていけます。
このチャンネルでは、これからも愛着トラウマの克服に向けた情報を発信していきます。焦らず、一緒に1歩ずつ進んでいきましょう。
今回は、以上です。