今回のテーマは、「共依存とアダルトチルドレンの関係」です。
前回は「共依存とはなにか」を説明しました。まだご覧になられていない方は先にそちらをご覧ください。
前回も少し触れましたが、共依存とアダルトチルドレンという概念は、非常に深く関係している概念です。
あなた自身が自分のことをより深く理解し、共依存・アダルトチルドレンを克服するためには、この2つの関係をしっかり理解しておくことはとても重要になります。
ぜひ最後までご覧ください。
動画で見たい方はこちらからご覧ください。
当オフィスは、『苦しい恋愛から 幸せな恋愛へ』をスローガンに恋愛依存克服専門のカウンセリングを行っております。恋愛に悩んでいる方は気軽にお問い合わせください。
共依存とアダルトチルドレンの関係
アダルトチルドレン(AC)とは
まず最初にアダルトチルドレン(AC)とは何かを簡単に説明します。こちらも以前別の動画で説明しているので、詳しくはそちらをご覧ください。
アダルトチルドレンとは、「家庭内トラウマを抱えたまま大人になった人たち」という意味があります。
病気ではないので、明確な診断基準はありません。共依存と同じく様々な定義、解釈が研究者の間でされています。
根っこにある定義は、『機能不全家族』に育てられたことというものがあります。
機能不全家族とは、その名前の通り「家族という機能が上手く働いてない」という意味です。
例えば虐待、ネグレクト、厳しいしつけ・ルールの押し付け、親が家にほとんどいない、親同士のケンカが耐えない、親が子供に甘えるなど、様々なケースがあります。
これは最近よく耳にする『毒親』とも関連します。
親が親の役割を果たしてくれなかったせいで、通常の温かい家庭がそこにはなかった。それによって様々なトラウマを抱えた人たちがアダルトチルドレンということですね。
アルコール依存症とアダルトチルドレン
アダルトチルドレンが一番最初に見つかったとき、その定義は『アルコール依存症の親に育てられた子供』というものでした。
アルコール依存症の親を治療をしている際、その人の子供も心理的にトラウマを抱えているので同様に治療が必要だ。ということでアダルトチルドレンという概念が生まれました。
それがその後、アルコール依存症の親以外にも様々な問題のある家庭があって、その家庭で育てられた人も同様にアダルトチルドレンではないか?ということで様々な機能不全家族が研究されたというわけです。
前回の動画をご覧くださった方は、「共依存と同じ話をしているのでは?」と感じたのではないでしょうか?
そのとおりです。共依存とアダルトチルドレンは両方とも、アルコール依存症を治療する過程で見つかった概念なんです。
アルコール依存症家族の関係
図にするとこうなります。
アルコール依存症の夫がいます。そしてその夫を文句を言いながらも支える妻がいます。この妻が前回お話した通り共依存です。
共依存だから、文句を言いながらも夫を支えてしまう。その結果自分や夫、さらに子供がボロボロになったとしても、それでも支え続けてしまう。
そしてその2人の間に子供がいます。この子供がアダルトチルドレンということです。
三者がそれぞれトラウマを抱えていて、それぞれに心理的な治療が必要だということがわかったのが、1970年代頃。今から約50年前です。
依存は連鎖する
そして本当に悲しく苦しいことなんですが、この関係は親から子へと連鎖する傾向があります。
先ほどの図で見ていただいたアダルトチルドレンの子が大人になると、自分自身もアルコール依存症になったり、もしくはアルコール依存症の人と結婚し、共依存になって支え続けることになりやすいという調査結果があります。
もちろんすべての人がそうなるというわけではありません。アルコール依存症の親に育てられた子供と普通の家庭に育てられた子供を調べたところ、アルコール依存症の親に育てられた人の方が、アルコール依存症になりやすい傾向があったということです。
これはアルコール依存症以外の様々な機能不全家族で同じ現象が確認されています。つまりアダルトチルドレンは共依存や様々な依存症になりやすいということなんです。
その人が大人になりなんらかの依存を持った状態で子を生み、その子がまた大人になり子を生む。
そうやって共依存とアダルトチルドレンは連鎖されていっています。
最初にアダルトチルドレンが定義されたのが1970年頃ですから、私達の世代はアダルトチルドレンが定義されてから、大体3代目か4代目ということになります。孫、ひ孫世代ですね。ちなみに私自身もアダルトチルドレンです。ずっと生きづらさを抱えてきました。
私はこの悲しい連鎖を止めたいと思っています。私の恋愛依存克服プログラムで共依存、恋愛依存の流れを止めて、依存を次の代に継承されないようにしたいんです。
恋愛依存克服プログラムと言ってますが、私のところにはお子さんがいる方も多く参加されています。
自分が親にされて嫌だったことを、つい子供にもしてしまう。子供を置いて出ていってしまう。そういった悩みを抱えている方も本当に多いです。
中には、世間一般で毒親と呼ばれている方々も参加しています。毒親もまた、自分の親から与えられた毒を浄化しきれずに悩んでいるのです。
本当につらい悲しみの連鎖ですよね…
なぜ依存は連鎖するのか
では、なぜ一体依存は連鎖するのかを説明します。
数ある研究の1つなのですが、アメリカの医学者 チャールズ・ウィットフィールドが提唱した『アイスバーグモデル』というものを使って説明します。
これは依存が形作られる過程を氷山に例えたものです。
『氷山の一角』って言葉を知っていますか?
これは、外に見えている部分は全体の一部にしか過ぎなくて、問題はもっと根深く大きいということを例えた言葉です。
この大きな氷山の内、水から外に出ている部分が、様々な依存症です。水の中で人知れず巨大化していった心の問題が、ついに依存症として目に見える症状として飛び出してくる。共依存はそのうちの1つです。
そして、水の底にあるもの、氷山が作られるきっかけになるものがアダルトチルドレンです。知らない内に水の中で問題がどんどん大きくなり、その間は自分も周りも気付かない。そんな状態です。
この図のように大きな氷山が出来上がり、最終的に依存症に至る。その流れを説明したものが『アイスバーグモデル』です。
では、どうやってこんな大きな山になってしまうのか順に見ていきましょう。大きく3つの段階に分かれています。
第1段階 機能不全家族が作られる
最初のきっかけは、親同士のなんらかの問題により、機能不全家族が作られることです。
その中で育つ子供は、健全な人との繋がりを持てず人に対する信頼感が育めなくなります。
最初に言ったとおり、機能不全家族に育てられた人をアダルトチルドレンと呼びます。なのでアダルトチルドレンが依存のきっかけになるということになります。
第2段階 見捨てられ不安と自己の消失
機能不全家族に育てられると、「自分はいつ捨てられるかわからない」という見捨てられ不安が強くなります。
当たり前ですが子供は一人では生きていけません。成長するには必ず親の助けが必要になります。
その肝心の親が虐待とか厳しすぎるしつけ、家を留守にするなどを繰り返すことによって、親に対して安心感を得ることが出来ず、見捨てられ不安が強くなるのです。
さらには親から責められたり、自分を否定されることで屈辱感が強くなります。
そういう様々な心的トラウマから、子供はこれ以上傷つかないように自分の感情を消したり、現実を否定して見ないようにします。
すると本当の自分(トゥルーセルフ)が失われていきます。
アダルトチルドレンは自分軸が育ちづらいというのはこういったことが背景にあります。
そして、本当の自分を失ったアダルトチルドレンの心には空虚感が広がっていくことになります。
第3段階 空虚感の穴埋めへの挑戦
空虚感がある状態はとてもつらいものです。だからなんとかしてその空虚感を埋めようとします。
例えば偽りの自分を高めるための自分磨きです。勉強や仕事で成果を出す、見た目を良くするなど様々な方法で偽りの自分をより高めようとします。
あとは趣味を持つとか、人と繋がるとか、様々な方法で自分自身の空虚感を埋めようとします。
穴埋めの挫折
第3段階で空虚感の穴埋めにチャレンジするものの、それに挫折したとき、ついに氷山は水の上に姿を表します。
それが最初に言ったとおり、依存症です。空虚感を自分で埋められなかったので、それを埋めるために他のものに依存することで穴埋めをしようとします。
それが他の人への依存なら共依存(恋愛関係なら恋愛依存)、お酒ならアルコール依存。さらには食べ物なら過食症などといった形で様々な依存症に枝分かれしていきます。
また依存症以外にも、うつや不安障害などといった心の病も水の上に現れてきます。
こうやって水の上に現れることで、本人や身の回りの方が初めて気付くことになるんですが、実際は氷山の一角という言葉が表す通り、子供の頃から症状は少しずつ現れています。
その最初のきっかけがアダルトチルドレンなので、アダルトチルドレンは大人になると何かに依存しやすい。ということになるのです。
そしてその人が結婚して子供を産めば、それが新しい機能不全家族となりその子供もアダルトチルドレンとなっていく。
こうしてあなたも私も、悲しい連鎖の中で生きづらさを抱えて生きているんです。
これが共依存とアダルトチルドレンの関係です。
真の自分を取り戻すこと
アイスバーグモデルでわかることは、依存とは真の自分を失った空虚感を埋める行為だということです。
つまり、共依存の克服は本当の自分を取り戻すことが鍵になります。
そのためには「自分を受け入れる」、「自分軸を育てる」ということが重要になってきます。
依存を無理やり止めようとするのではなく、まずは自分自身と向き合い「本当の自分とは」というのを探っていってください。
私のところに相談に来ている方も、最初は恋人がいないと不安でしょうがない状態だったのが、自分自身の本当に大切にしたいものに気づいたことで、実は恋人はそんなに重要ではなく、仕事や趣味に時間を注いでいる方が幸せだと気付くことになりました。
共依存も恋愛依存も、所詮は空虚感の穴埋めです。
本当のあなたの心には、かけがえのないあなたの想いが眠っています。
それをあなた自身が見つけることが、依存克服の鍵になります。
終わりに 悲しみの連鎖は断ち切る事ができる
ここまで、共依存とアダルトチルドレンの関係について説明してきました。
機能不全家族に育てられたアダルトチルドレンが、大人になって自分が機能不全家族を形成し、そして生まれた子供がまたアダルトチルドレンとなる。
これが何代も続いた結果、生まれたのがあなたや私です。
そういうと、自分が親になってはいけないのではないか。と不安になってしまう方も多いかもしれません。
しかしそんなことはありません。アダルトチルドレンも共依存も克服することが出来ます。現にアダルトチルドレンだった人が大人になって温かい家庭を作っているケースを私はたくさん知っています。
温かい家庭を作ることを諦めないでください。乗り越えることの出来る問題ですから。
そのためには、先ほど言った通り、自分自身を見つめ受け入れていくことを進めてください。
また、今日説明した共依存とアダルトチルドレンの研究の話はほんの一部です。世界中で様々な医学者や心理学者が、共依存やアダルトチルドレンを克服するにはどうすればいいかを研究し続けています。
あなたを救う治療法は日々より良いものに進歩しています。
もちろん私も、自分の作ったプログラムをより良いものになるように改良し続けています。
あなたには味方がいるんです。
アダルトチルドレンとして育つと、人を信じられない傾向が強くなります。他人は敵で自分を見捨てる存在だ。そんな気持ちが強くなる。それはよくわかります。
しかしそれは思い込みに過ぎません。実際に味方はいるのです。
共依存、アダルトチルドレンの克服を諦めるのではなく、味方を見つけて回復への歩みを進めてください。
皆で協力して、悲しみの連鎖を私達の代でストップさせていきましょう!
では、本日の内容は以上です。
最後までご覧いただき誠にありがとうございました。
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